日本ワイン

【日本ワイン】シャトーシャルマン尾白メルロー2016と釜無カベルネソーヴィニヨン2015を試飲

シャトーシャルマンChateau Charmant 尾白メルロ2016

基本情報

・メルロ100%の日本ワイン
・ミディアムボディ
・720ml
・ノンフィルター
・非加熱
・樽熟成12か月前後(新樽と古樽をブレンド)
・山梨県北杜市白州町白須の自社畑で取れる最高品質のメルロを使用
・価格→¥3520

テイスティング記録

外観は無濾過とは言えクリア。むらさき色が主体で熟成感は見て取れない。
香りは赤い果実と若干の黒スグリ。樽もしくは熟成由来のクローブやナツメグがわずかにある。グリーンな印象はほとんどない。香りのボリュームは中程度。しっかり成熟したぶどうを使っている印象。
酸はやや高く、アルコールは中程度。タンニンも中程度。しっかりした酸がワインを支えている。
余韻は普通。
濃厚さやボディは控えめで小ぶりながらもメルロの果実味がよく出ている。

シャトーシャルマン尾白メルロ2016

シャトーシャルマンChateau Charmant 釜無カベルネソーヴィニヨン2015

基本情報

・カベルネソーヴィニヨン100%の日本ワイン
・ミディアムボディ
・720ml
・ノンフィルター
・非加熱
・樽熟成12か月前後(新樽と古樽をブレンド)
・山梨県北杜市白州町白須の契約農場で収穫したカベルネソーヴィニヨン
・価格→¥3520

テイスティング記録

こちらも外観は無濾過とは言えクリア。むらさき色が主体で熟成感は見て取れない。
香りは黒スグリや杉。樽もしくは熟成由来のクローブやナツメグがわずかにある。グリーンな印象がすこし。
香りのボリュームは中程度。
酸は中程度、アルコールも中程度。タンニンも中程度。ボディもやや弱い。
余韻も普通。
カベルネソーヴィニヨンとしては非常におだやか。
濃厚さやボディは控えめで小ぶりながらもバランスはとれている。

シャトーシャルマン釜無カベルネソーヴィニヨン2015

シャトーシャルマンの訪問視察記はこちら

https://fishinthebox.net/2021/04/09/%e3%82%b7%e3%83%a3%e3%83%88%e3%83%bc%e3%82%b7%e3%83%a3%e3%83%ab%e3%83%9e%e3%83%b3%e8%a8%aa%e5%95%8f%e6%97%a5%e8%a8%982021-04-05/

シャトーシャルマン訪問日記2021.04.05

シャトーシャルマンChateau Charmant基本情報

所在地

シャトーシャルマンChateau Charmant
山梨県北杜市白州町白須1045‐1
HP→ https://www.charmant-wine.com/

主な栽培品種

カベルネフラン
メルロ
シャルドネ
甲州
マスカットベリーA
セミヨン

ワインのラインナップ

通販サイトを参照してください。こちら

視察内容

創業の話

もともと生産者組合の合弁会社のような形で立ち上がったワイナリーを昭和39年に江井ヶ島酒造が買収。
それを機にデラウェアなどを中心に栽培、仕込みをしていた状態から現在の『欧州系ぶどう栽培』にシフトチェンジ。翌年の昭和40年にさまざまな品種を植えたが、土壌にマッチしたカベルネフランが栽培面積の多くを占めることとなり現在に至る。

畑の話

自社ワイナリーにカベルネフラン、メルロの畑が隣接しています。1haくらいあるそう。
垣根のカベルネフラン、棚のカベルネフラン、メルロが植えられています。
ここは駒ケ岳由来の花崗岩土壌。表層2メートル以下は花崗岩土壌。
これがメルロにいちばん合ったのではという。
花崗岩が風化してできた砂系の土壌は水はけも大変良い。
『白須』という地名の由来も『白い砂の多い地』が由来しているという。

奥に見えるのが駒ケ岳

本当にすぐ近くなので歩いて訪問できます。
白州町白須の最低気温は‐10度を下回ることはほとんどないそう。
ここ数年は温暖化の影響も感じている…と。

垣根のカベルネフランの樹は新しく樹齢は3年。
棚のカベルネフランは30年を超すものもあります。(↓写真)

写真の樹は皮がはがれていますが、3年に一度ほど皮をはぎ高圧洗浄機でカイガラムシを洗い流すそうです。

棚栽培のカベルネフラン

やはり高樹齢のほうが良いぶどうが取れるそうだが、最年長よりも20‐30年くらいのものが最良とのこと。
黄色のマーカーが付いている気が最良のぶどうが収穫できる樹です。もちろん、分けて仕込みます。
基本的には『最良』『良い』『あまりよくない』の3段階に分けるそうです。

以外に思ったことが1つ。
最良のぶどうは垣根栽培ではなく棚栽培で取れるそうです。垣根栽培のほうがいいぶどうが育ちやすいというのをよく耳にしますが、山本さまいわくそうとは限らないとのこと。(樹齢が同じでないため単純比較は難しいが…)
樹冠管理(キャノピーマネジメント)や収穫は垣根のほうが手がかからないそうです。

今後、植栽していく樹は垣根栽培にする予定だそうです。

ちなみに以前シャルドネが植えられていた畑は現在なにも植わっておりません。

なにが植えられるか未定…楽しみですね

醸造の話

特別に選果、圧搾をする棟も見学させていただきました。

なかの写真は撮影を控えました…

こちらの棟の中には、圧搾機と発酵に使うステンレスタンク(1500Lサイズ)が並んでいます。
圧搾機とステンレスタンク共に新しいものを使っていることにびっくり。
以前は古いものを使っていたが、現在は空圧で絞るタイプの圧搾機を使って搾汁しています。

収穫後はこちらの倉に選果台を設置し、手作業での選果も行っているそうです。

発酵は赤ワインは自然酵母、白ワインは培養酵母を使用します。
いろいろと試したがこれがいちばんしっくりきたそう。『自然酵母で赤ワインを仕込むと発酵が穏やかに始まっていくので管理がしやすいですね』と山本さんはおっしゃってました。

そうして出来上がったワインは地下の貯蔵庫に保管されます。

これは30年以上使っている超古樽

赤ワインは基本的には樽で貯蔵します。
新樽と2‐6年樽と↑写真の古樽。大きく3つに区分されています。そして瓶詰前にブレンドしていきます。
新樽と2‐6年樽が9割ほどで1割古樽のものをブレンドするのが基調。山本さんいわく『この古樽がいちばんカベルネフランの特徴が出るんです』とのこと。
熟成期間は10か月から12か月。年間通して気温は安定しており、最高気温が20度を超えることはほどんどない。しかし、念のためにエアコンも完備しておりました。

新樽と2‐6年樽

樽での熟成を終えると次は瓶詰し、熟成させます。ワイナリーで詰めるものと兵庫の工場で詰めるものと2パターンあります。ワイナリーで詰めるものは瓶詰とコルクうちも全部手作業で行います(※フラッグシップである尾白や釜無のみ)
さらにワイナリーで詰めるものは基本的にノンフィルター無加熱。

瓶での熟成期間はおおよそ12か月。しっかりと熟成させたのちリリースします。

30年前の古酒とかも眠っています…

おまけの話

シャトーシャルマンでは2種類のタイプの瓶を使っています。
ボルドー型とブルゴーニュ型です。なにか違いがあるの?と思いますよね。
実は重要なポイントになります。
ボルドー型→瓶詰時に兵庫に運び、そこで瓶詰。濾過を行い、加熱もします。比較的クリアに仕上がってます。
ブルゴーニュ型→ワイナリー元詰め。無濾過無加熱。本来の果実味がしっかりと味わえます。
(※シャトーシャルマンにおける区分けです)

こんな違いがあったんですね。勉強になりました。

まとめ

シャトーシャルマンのカベルネフランが良質な理由がわかりました。しっかりした骨格はノンフィルター、きれいな果実味は古樽、そして白須の地に適合したカベルネフランとすべての要素が重なりあって作られている…そう体感しました。

山梨には日本で一番たくさんのワイナリーがあります。そのひとつひとつに個性があり、歴史があり、ロマンがあるなあと改めて感じることができました。シャトーシャルマンさんのワインを飲むときはぜひこの畑や白州町のことを思い描いて飲んでみるとよりワインに浸れると思います。